今日も酔うかい?
どうも、酔いつぶれの妖怪である酔う怪こと「ヨイ」です。
物語のカテゴリーでは、お酒のお供に小話でも読みながら飲んで欲しくて作りました。
出てくる話は、自分の怖い話、不思議な話、変わった話などです。
聞いたものから完全オリジナルなもの、実体験まで様々なので、是非読んでみたください。
今回の話は 「変な創作話」 です。
では、どうぞ‼︎
物語のはじまり、はじまり
最近幼馴染が亡くなった。
とても面白い幼馴染だったので悲しかった。
でも、その悲しさを圧倒的に超えるほど変な葬式だった。
まず、葬式の案内に「服装自由」と書いてあった。
この時点で変だとは思ったが、とりあえず何も考えずに礼服で行った。
まず、行ってびっくりしたことは葬式が以上に人が入れる広さだったことだ。次に故人を惜しむ為の音楽がEDMなのだ。だいたいこう言うのはちょっと落ち着いた音楽だろうが、クラブミュージックの様なものがかかっていた。
受付をするとなにやら封筒を渡された。
「あとで使うので、指示があったら開けてください。」と言われた。
ちょっと着くのが早くて待合室で待っていたのだが、そこにはジェンガやトランプ、けん玉などおもちゃがたくさんあった。麻雀まであった。まぁ、ちっちゃい子は何人かやっていたが流石に大人はやっていなかったが変わった光景だった。
そして、葬式が始まり司会が静かに話し始めた。だが。その間ずっとEDMが流れていてる。司会の話し方は優しく丁寧なのに、重低音が体を揺らしてくる。
喪主の人が話し出す。
「父はとても面白い方でした。みんなに愛されて、ちょっとズレてるところもありましたが、みんなが楽しくしてるのが好きなとても優しい方でした。父は自分に何かあった時の為に遺書を残しており、それに従って今回の式も開いています。父は葬式に何度も出ていて、暗く悲しい葬式が嫌だったらしく、自分が送られる時はみんな笑って終われる式にしたいと言っていました。なので、今も聞こえると思いますが、EDMで重低音を流して、遊び道具をひとしきり待合室に用意し、この広い式場を用意しました。最後になりますが、式場の後ろに食べ物と飲み物があります。父は葬式にしかなかなか会わない人も多いからその人達と楽しく話したり、なんなら合コンして欲しい。と遺書に書き残していました。また、この式が終了しましたら、来て頂いた方に楽しい思いをして欲しいということで、立食パーティー兼ビンゴ大会を開きます。皆様入り口で渡された封筒があると思います。それを開けてください。中にビンゴカードが入っています。お時間のある方は参加していってください。商品もあります。」
喪主の話が終わると司会が進行を始めた。
そして、おもむろに祭壇に行き中くらいの遺影を持って、とても静かな口調で喋った。
「故人様の遺書より、私から最後に一言言わせていただきます。」
「遺影を持ってイェーイ」
「以上で終了致します」
真顔で静かな声で司会がややウケを取る。実に変な空間だった。
その後、喪主が主催になり立食しながらのビンゴ大会が始まった。
一等を出した子供は新作のゲーム機を貰っていた。
2等の主婦は焼肉セットをもらっていた。
何人かビンゴしてから、最後の方にビンゴした私は故人の変顔の写真が入ったオリジナルTシャツをもらった。
そしてその後、ビンゴに参加した人は同じ写真のマグカップをもらい、最後にビンゴしなかった人全員に同じ写真の缶バッチが配られた。
不謹慎極まりないが面白かった。
立食パーティーは遅くまで続きみんな久しぶりに会う人達と会話を楽しんだ。
2日目は同じ様に葬式が進み、司会が滑ったあと、今度は芸人が3組登場した。そして、漫才をしたのだが、流石のプロも気まずそうな顔をしていた。
火葬場に向かい、火葬を待っているときは映画鑑賞会だったらしい。
そして、骨を納め全てが終わった。
私の幼馴染ながら相当変な葬式をしていた。
でも、とても面白くて、とても優しくて、楽しかったのに家に帰ってからあいつらしいと思い出し笑いをしながら泣いた。
後日そいつの家に行って遺書を見せてもらった。最後にそれだけ書いておく。
「
拝啓残された人へ
この手紙を読んでいるということは俺はもうこの世にいないのだろう。
急に死んでしまって迷惑をかけていることだと思う。申し訳ない。
申し訳ないついでに俺の最後のわがままを聞いてほしい。俺は葬式というものがあんまり好きじゃなかった。みんな死んだやつを惜しんでたくさん泣く。最後のお別れだから仕方ないが、俺はもし葬式に懐かしい人や、親しい人がきてくれるなら、最後に見る姿は笑ってる姿がいい。だから俺は世界一楽しい葬式にしたい。そのためにお願いがある。
1、大きな式場を用意してほしい。
2、待合室に遊べるものをたくさん置いてきてくれた人を退屈させないでほしい。ずっと何もしないで待ってる時間は退屈で寂しくなる。
3、式はサクッと終わらせていいし、そうでないなら世界中の葬式を開催してもいい。
4、個人を偲ぶ音楽みたいなやつは全部EDMにしてほしい。音楽の力はすごい。だからこそ悲しい歌にしてはいけない。
5、受付でビンゴカードをあげて、最後にビンゴ大会を開いてほしい。でも、びっくりさせたいから封筒にしまって指示があるまで開けないように言ってほしい。
6、ビンゴの景品は最初は豪華な景品にして、最後の方はこの手紙に入ってる俺の写真をTシャツとかマグカップにして、最後に参加賞として、それの缶バッチをあげてほしい。
7、司会に静かなテンションで、俺の遺影を持って、イエーいっていってもらいたい。
8、最後に終わったらパーティーを開いてくれ。こういう時にしかなかなか集まれない人達がいる。だから、派手な立食パーティーにして、そこでビンゴ大会を開いてくれ。
9、二日目も同じような流れで、でも、ビンゴ大会の代わりに芸人を呼んできれ。
10、最後に火葬の時は待合室で映画干渉でもしてくれ。
これで俺の葬式プランは終わりだ。
全部動画に撮ってネットにのせたり、テレビ局呼んだりして金策にでも使ってくれ。あと、結構お金がかかると思うが俺のへそくりが俺の机の引き出しの奥に隠れている。それを使ってくれ。
最後に、みんなにはとても感謝している。俺は死んでいなくなるけど、誰かの記憶にいるうちは生きている。だから、悪口でもなんでもいいから、記憶に残しておいてくれ。悔いが無いかといえば、ありすぎて困る。でも、人生一周でクリアできるほどのものでも無い(笑)みんなも俺が人生一周でクリアできなかった分みんなの人生でクリアしてくれ(笑)みんなが各々の人生を生きることで、俺がみた事のない世界をしれる。だから頼んだぞ!本当に幸せでした。じゃあね!
」